2006-01-01から1年間の記事一覧

雅号

昔の文人は本名ではなく雅号を使ひます。大正時代まではその伝統は強く残つたやうです。雅号とは、たとへば森鴎外の「鴎外」がさうです。森鴎外の本名は森林太郎です。大石内蔵之助良雄ではありませんが、雅号がつくといかめしい感じがします。明治末から徐…

靖國問題と報道

八月十五日に靖国神社を首相が参拝しました。いつも思うのですが、これが十二月八日の大詔奉戴日(開戦記念日)や二月十一日の紀元節などだったら、もっと問題になるのでしょうか。中国の抗日記念日である五月四日に、首相が靖国参拝したら、もっと問題にな…

はてなチョコレート

ブックマークのつけ方はどうやつてするものなのか、わたしは分からないのですが、わたしの詰まらない駄弁にブックマークをつけてくださつてゐる方がいらつしやいます。これは、大変励みになりますので、とてもありがたいのです*1。感謝してをります。ブック…

アリストテレスと飛行機

アリストテレスによると、すべての物事を成り立たせている四つの原因があるそうです。それは、形相因、質料因、作用因 (動力因)、目的因 の四つです。たとえば、家を例にとって見ましょう。形相因→家の形 質料因→家の建材 作用因→大工さん 作る人 目的因→…

佛蘭西哲學の特徴

九鬼周造は《フランス哲学》の特徴として、「一、内的観察の特徴」「二、数学及自然科学との密接なる関係」「三、二元論」「四、社会的」の四点を挙げています。「二、数学及自然科学との密接なる関係」は、芸術、文学の華やかなイメージの強い「おフランス…

アメフラシ

暑い日がつづいています。つい先日までの恩寵のような涼しさはどこへ行ったのでしょう? わたしは暑さがとりわけ苦手なので、雨が降って涼しくなってくれはしないかと、たびたび天を仰ぐのですが、どうも駄目です。雨を降らせるアメフラシ、ということで、中…

文字禍

先日、新宿を徘徊してゐましたら、古本市をやつてゐることがわかりました。場所は京王百貨店です。わたしはさつそく百貨店にはひり、決死隊の覚悟で、イメルダ夫人の部屋を思はせる膨大な量の靴の山を抜け、たくさんの老貴婦人の波をかき分けて、昇降機でや…

九鬼周造

「媚態とは、一元的の自己が自己に對して異性を措定し、自己と異性の間に可能的關係を構成する二元的態度である。さうして「いき」のうちに見られる「なまめかしさ」「つやつぽさ」「色氣」などはすべてこの二元的可能性を基礎とする緊張に外ならない。いは…

小林秀雄

少し前に、「昭和イデオロギー」といった感じの題の本を必要があって読みましたが、著者が日本文学の人でしたので、話題は思想ではなく文学が中心でした。そのなかに、小林秀雄の「社会化した私」という言葉についての記述がありました。社会化した私でなく…

夜明けの国

「夜明けの国」という映画があります。これは、1966年の中国の技術革新を取材した日本の映画で、1967年に公開されました。岩波映画が撮ったものです*1。1966年の中国といえば、無産者文化大革命が起こった年です。文化大革命は農業立国と共に技術立国を目指…

Gigliola Cinquetti(ジリオラ・チンクエッティ)の La pioggia (雨)といふイタリアの流行歌があります。1960年代末の歌です。雨ばかりつづいてゐるこの頃にはぴつたりの曲です。それにしても、涼しくて助かります。この歌を耳にして思ひだしたことがありま…

変態がな

さて、右の文字はなんと読むのでせう? 曲線がうまく出ないので若干変ですが・・・わたしはひねくれものなので、正解が一つしかないテストやクイズは大嫌ひなのですが*1、たまにはよいでせう。わたしは子供の頃に、ふと思ひたつて旧字・旧仮名遣ひ(正字・歴…

REX MUNDI (世界の王)

荒俣宏氏の『レックス・ムンディ』(集英社、1997)を読んでいます。とてもよいです。アマゾンの書評では、小説としてのつくりは余りよくないが、内容は秀逸だとありました。なるほどと思いました。でも、書評にもあったように、それはこの本の価値と面白さ…

古本

昔買ひはしたものの、その著者が嫌ひでしやうがなくなつて、結局読む気も失せてしまつた本がある場合、普通はどうするものでせう? わたしは途方に暮れました。でも、一応策を立ててみました。1、たたきうる 2、捨てる 3、人にあげる 4、火をつけて暖を…

ダ・ヴィンチ・コード

ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』を遅まきながら読みました。去年あたりから、読みたい読みたいとは思っていたのですが、なかなか機会がなく、読めませんでした。また、なかなか読まなかったのは、聞くところによると、『ダ・ヴィンチ・コード』は…

甲斐庄楠音

今日、テレビの「新日曜美術館」が甲斐庄楠音を特集していました。かいのしょう・ただおと、と読みます。どんな画家かは絵を御覧になってみてください。こちら↓http://members.at.infoseek.co.jp/kainoshou/ecstasy/index01.html岩井志麻子の「ぼっけえ、き…

大海航行靠舵手

http://www.youtube.com/watch?v=98n1thSMr8M&search=%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%A7%E9%9D%A9%E5%91%BD 文化大革命のパロディコマーシャルです。香港のCMですが、今や文化大革命をパロディにできる時代になったのかと感慨しきりです。もっとも、これは香港の…

こぞの雪と美神の午餐

François Villon(1431-1489), Ballade des Dames du temps jadisいづくにや 才媛エロイーズために宮され 僧となりたるアベラールは サン・ドニに愛がため 苦汁を嘗めたりかねて思へば いづくにやビュリダンをぞ 袋にはふりセーヌに投げよと 命ぜし女王さは…

マグダラのマリア

ヤコブス・デラ・ウォラギネ『黄金伝説』2、前田敬作・山口裕訳、平凡社「主は、マリアをとくに親しい友とされ、主をもてなす女主人、布教の旅に出たときの女執事とされた。主は、いつでも大きな愛をもって彼女を弁護された。(中略)彼女が泣くのを見ると…

木造校舎

わたしが小学生の時、小学校は木造建築でした。古色蒼然とした木造の巨大な建物でした。巨大に見えたのは自分が小さかつたからです。木造校舎は床に穴が開いてゐて、そこに、わたしたちはごみをたくさんすてました。ごみだけでなく、大事な消しゴムだのおも…

露西亜料理

けふはロシア料理をたべました。ピロシキ 鯵のマリネ ボルシチ さつまいものクリームスープ ロシアパン ジャム入りのロシア紅茶 ストロガノフすつかり堪能しました。わたしは外国料理がとても好きです。日本料理も好きなのですが、すし屋は大変値段が張りま…

スーギ氏

和田義彦とかいう日本人画家の剽窃が話題になっています。アルベルト・スギというイタリアの画家の絵を、そのままそっくり模写して、その模写絵で賞をおとりになったそうです。実に情けない話です。賞をあげた人たちを訴える、とスギ氏は言っているそうです…

動物ビスケット

ドラえもんの道具に「動物ビスケット」というものがあります。見た目は、さまざまな動物の形をした、ただのビスケットですが、たとえば猫の形のビスケットを食べると、猫の顔になってしまうという不思議なビスケットなのです。顔だけ動物になっても無気味な…

ビスケット

わたしはビスケットが大好きです。ほんたうはチョコレートケーキが最も好きなのですが、これは値段が少々張ります。しかも、ケーキ屋さんに買ひにゆかなくてはなりませんし(あひにく、近所に一軒もないのです)、満足するほど大きいケーキはなかなか食べら…

兇事頻々

この頃は、ひき逃げや突き落としなどの悲惨な事件が連続して起こつてをり、テレビの人たちは商売繁盛で結構ですが、日本はまあなんといふ異常な国になつてしまつたのだらうと思ひます。子供達がよその大人を素直に信用できなくなる世の中なんて、誰が想像し…

納豆

とつても日本びいきのイギリス人がゐました。日本に留学して十年近い人です。このイギリス人と朝食を共にする機会がありました。食卓についてみると、ごはん、みそしる、とうふ、やいたさかな、たくあん、なつとう、のりと、完全なる和食でした。わたしはこ…

刺客

ヤコブス・デ・ウォラギネの『黄金伝説』全4巻が平凡社ライブラリーで復刊されるやうです。*1『黄金伝説』は人文書院から単行本で出てゐたのですが、全4巻で合はせて14000円もするので、いつか買へる時に買はうと思つて幾星霜。いつのまにか品切れになつてゐ…

方向轉換

教習所で自動車の運転を教へてもらつてゐる時のことです。バックで方向転換する方法といふのを教へてもらひました。それは、自動車のお尻の右の部分をぐつと右に入れて狭いところに這入り、それから左折して出てゆくといふものですが(これでわたしの言はん…

自動車

自動車がお好きな方、また自動車を多用する仕事をされてゐる方の中には、滅法界に運転の上手な方がをられます。狭苦しい車庫に、ぴつたりと自動車をはめ込むことのできる方がいらつしやいます。もちろん、わたしにはできません。嗚呼、めりけんにありせば、…

くま

熊はなぜ人を恐れるのでせうか?熊の奴さへ人を過剰に恐れなければ、山で運悪く出遭つても、そゝくさとお互ひがもと来た道へ逃げれば済むことなのです。しかし、熊は本気で人を怖いと思ひ、絶体絶命の危機を感じ、やむにやまれず攻撃に出るのです。どう見て…