記憶
A君と遊んでいたら、たまたまそこに来たB君と知り合いになりました。
B君とは初めて会ったのですが、どうやらA君の友人のようです。
3人は一緒になってしばらく遊んでいました。なにをして遊んだのか忘れましたが、とても楽しかったのを覚えています。
やがて、夕方になったので、3人の母親が連れ立って迎えに来ました。
じゃあね。またね。と3人は、それぞれの母親に連れられて、家に帰りました。
それから何日かたって、A君とまた遊びました。
B君は今日はこないの?
と、わたしはA君に聞きました。
誰それ?
A君は言いました。
なんだい。この前遊んだじゃない?
わたしは言いました。A君はなにをとぼけているんだろう? わたしは少し憤慨しました。
いや、そんなやつしらないよ。
A君は言いました。なんだなんだ。なにをとぼけているんだ。
でも、A君はまじめな顔をしています。おかしいな。とは思うのですが、それ以上、抗弁しても仕方がないと思ったので、B君のことは忘れて、遊びをつづけました。
しばらくして、夕方になりましたので、家に帰りました。
母親に今日のことを話しました。そして、A君のやつ、B君なんか知らないととぼけたんだよと言いました。
すると、
A君の他に誰かいたっけ??
と母は言いました。
わたしはびっくりしましたが、A君と示し合わせてふざけるわけがありません。
おかしいな。おかしいな。と思いはしましたが、一度きりしか会ってない人のことだし、それ以上、しつこく言う気もしなくなって黙りました。そもそも、それ以上言おうにも、B君の正確な情報は何も持ち合わせていなかったのです。
次の日、またA君に会いましたので、B君なんてしらないなんてうそだろう?と言ってみました。
ううん。しらないよ。誰それ?
やはり、B君は同じことを言いました。わたしはすっかり途方に暮れて、なんだか胸がきやきやとするような変な感じがしましたが、
そうか、そんなやつはいなかったんだな。
と思うことにしました。そう思わないとなんだか困ってしまうと思ったからです。