大海航行靠舵手

kimikoishi2006-06-21

http://www.youtube.com/watch?v=98n1thSMr8M&search=%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%A7%E9%9D%A9%E5%91%BD
文化大革命のパロディコマーシャルです。香港のCMですが、今や文化大革命をパロディにできる時代になったのかと感慨しきりです。もっとも、これは香港のことですから、大陸ではまだまだ時間がかかりそうです。

とは言え、大陸には、メイド喫茶ならぬ文革カフェがあるそうです。紅衛兵の衣装を着た給仕がいて、文革時代の唄を歌ってくれるそうです。しかし、文化大革命に対する正面切った批判(四人組批判はできても、毛沢東批判となると・・・)やパロディは、大陸では当分の間は出てこないのではないでしょうか。

文化大革命が残したさまざまな不幸は、まだ人々の記憶に根深く残っています。だいぶん前に、文革をテーマにした「傷痕文学」というのが現われましたが、当事者が思いのたけを自由に語ることも含めて、文革を客観的に語ることができるのは、今しばらく時間がかかりそうです。

わたしの知人にモンゴル人がいましたが、彼に聞いたところ、文革はじつに辛い時代だったそうです。あまりに辛かったと言うので、どんなことをされて辛かったのかは聞けませんでした。

漢民族以外の少数民族にとって、文化大革命は今もなお、笑って語ることのできる懐かしい記憶ではないようです。その一方で、とても対照的なことですが、漢民族の知人は懐かしそうに「東方紅」や「国際歌」(インターナショナル)、「没有共産党就没有新中国」、「我是一個兵」などの文化大革命ソングを歌ってくれました。

いずれも1950年代生まれの人でした。漢民族とて辛い目に遭った人も大勢いたわけですが、少数民族はさらにいろいろなことがあったようです。

文化大革命の唄といえば、
http://www.youtube.com/watch?v=HHJZDkz8jqs&search=%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%A7%E9%9D%A9%E5%91%BD
の後半部分に出てくる唄は、かつて映画「ラスト・エンペラー」にも使われていた曲です。紅衛兵が出てくる場面でした。「大海航行靠舵手」という文化大革命初期によく使われていた曲です。文化大革命を象徴する曲の一つです。

大海航行靠舵手 
万物生長靠太陽 
雨露滋潤禾苗壮 
干革命靠的是毛沢東思想

魚儿離不開水呀
瓜儿離不開秧
革命群衆離不開共産党
毛沢東思想是不落的太陽

「ラスト・エンペラー」では、中国に過剰に配慮してか、皇帝溥儀が文化大革命中にどれだけひどい目にあったかはまったく描かれませんでした。また、イギリスが清朝に対して行なった数々の非道もまったく描かれていません。それどころか、家庭教師ジョンストン(『紫禁城の黄昏』の著者)のおかげで、清朝四百年の迷妄を開いたという感じになっており、大清帝国の頽廃と民国時代の混乱は一切イギリスのせいではないかのように描いています。悪いのは全部日本と決めたようです。

むしろ、中国の「火龍」という皇帝溥儀を扱った映画のほうが、文化大革命時代の迫害をきちんと描いていたのは皮肉なことです。