ぷきい

kimikoishi2007-05-05

さて、右上のぶたの写真なのですが、このぶたはいったいなんでしょう?

実は、上海商業儲蓄銀行という銀行がありまして、そこのマスコットキャラクターなのです。名はpukii(プキー)と言います。pukiiには両親と兄弟がいます。

「儲け蓄え」銀行という名もすごいですが、プキーという断末魔の悲鳴のような名もすごいです。

わたしはpukiiがそこそこ気に入つています。今なら「踊るpukiiあかちゃん」のぬいぐるみが貰えるかも。http://www.scsb.com.tw/card_950922.jsp

上海商業儲蓄銀行は1915年(民國4年)に上海で創立されたそうです。「服務社會、輔助工商實業、發展國際貿易」をモットーとして、日本との交戦前(1937年以前)までは、中国最大の民営銀行の一つだったそうです。

その後、日中戦争のごたごたに巻き込まれまして、営業途絶の状態が続き、1965年に台湾の台北市で正式に営業を再開したそうです。上海という名前ではあるのですが、中国の上海とはあまり関係がなくなっていて、今は台湾の銀行なのですね。

今年の台湾はぶた年です。日本では亥の年ですね。中国語では「いのしし」は「野猪」で、ぶたは「猪」と書きます。そこで、台湾や中国ではぶた年なのです。ぶたはとても愛されています。ぶたをモデルにしたマスコットキャラクターの類も、あちこちで見かけます。

一方、日本では、ぶたはキャラクターとしてはあまりよい位置にないようですが、台湾ではそうではありません。なにしろ、銀行のキャラクターになるくらいなのですから。ぶたはミッキーマウス(かつての東京三菱銀行のキャラクター)と引けを取らない座を占めているのです!

わたしはぶたが好きです。もっとも、子供の頃は嫌いでした。それは、近所のぶた小屋が猛烈にくさかったからです。

とは言え、キャラクターとしてのぶたは好きで、わたしは自分なりのぶたマスコットを作り上げて、「とんとん」と呼んでおりました。小学生の時のことです。

そのマスコットは、直立二足歩行しているぶたです。あまりかわいくはないと思うのですが、不思議と級友には人気がありまして、とんとんを描いてよ、とせがまれては、得意になって、とんとんを描いておりました。

しかし、ぶたといえば、あいつはブタだ、とか、ブタのように卑しいやつだとか、碌な言われようではありません。わたしはかねがね気の毒に思っておりました。

でも、そんなぶたへの愛情が揺らぎそうになる一瞬が、この前ありました。

それは、テレビを見ていたときのことです。突如、画面に一匹の「ぶた」が出てきました。わたしは目を細めて、小さなぶたが走り回るのを見ていました。

ところがです。

ぶたの前に、巨大なデコレーションケーキが現れました。それは、わたしの誕生日には、まず貰えなかったような立派なケーキです。

いやな予感がしました。ぶた野郎にこれをたべさせるのか?

案の定、それはぶたへのプレゼントでした。

ぶたはケーキに向かって猪突猛進したかと思うと、がつがつとくらいはじめました。

その食べっぷりのすさまじいこと。わたしはあきれてしまいました。

あっという間に、ぶたは巨大なケーキを平らげてしまいました。わたしはいくらたべたくても買えないような大きなケーキです。嗚呼、あのケーキ、いくらしたのでしょう。それを、がつがつと品もなく、たった数十秒でぶたはたいらげてしまったのです。

しかも、お茶もなしに。

嗚呼。

わたしは嘆息しました。画面のぶた野郎は、今度は別の動物をおしのけて、そいつのえさまで食べ尽くしています。

嗚呼。

もう同情の余地はありません。このブタ野郎!

わたしは「別の動物のえさ」には興味はなかったのですが、ケーキには食指が動きました。
嗚呼。

耐えられなくなって、わたしはテレビを消しました。

でも、ぶたのマスコットキャラクターはやっぱり好きです。わたしは金色のぶたの貯金箱を愛用しております。がつがつと世界のお金を食べ尽くして欲しいです。それをわたしが横取りするわけです。

真のブタ野郎は、案外わたしなのかもしれませんが。