異邦人

parajanov

先日、テレビや電車の広告で、謎の女性が謎の本を薦めてゐるのを目にしました。その女性は、なんと1974年(昭和54年)に「異邦人」で一世を風靡した久保田早紀さんでした。今は久米小百合と名乗つていらつしやるやうです。

「異邦人」は大変印象深い曲で、当時、NHKテレビの夜8時ごろの短い番組で、毎日のようにかかつてゐたのを思ひ出します(記憶はかなり不確かです。子供が遊んでゐる映像があつたやうに記憶してゐます)。

「異邦人」を聞くと、東欧や中東の街を思ひ浮かべます。もつとも、かの地を訪れたことはありません。

セルゲイ・パラジャーノフの「ざくろの色」(1971年)といふ映画があります*1。18世紀アルメニアの詩人、サヤト・ノヴァの生涯を追つた映画ださうですが、筋も何もさつぱり分からない映画です。

とにかく美しい映画です。一生懸命見ても、筋は追へないと思います。ひたすら美しい映像、怪しい映像、何をしてゐるか分からないがひきつけられる動作の繰り返しで、兎に角わけの分からない映画です。もし筋をあらかじめ知つてゐたとしても、それはほとんど意味を持たないでせう。

ソ連時代に民族色を強く打ち出した映画をつくるのは命がけのことで、それゆゑ、パラジャーノフは、わざと筋のたどりにくい変な映画をつくつたのかもしれません。まあ、でも真意はそんなところにはないのでせう。パラジャーノフは単にさういふ映画を作りたかつたので、理由はとくにないのかもしれません。

「異邦人」といふと、わたしはカミュの「異邦人」より、いつもこの映画を思ひ出します。遠い国の不思議な人たちです。

それはさうと、久保田早紀さんが薦めてゐる怪しい本とは「Power for Living」といふ本です。http://www.powerforliving.com/pfl2.htm (英語)
https://www.powerforliving.jp/index.html (日本語)
に詳細があります。

なんと、この本、無料で呉れるさうなのです。ただし、住所、氏名、電話番号を書き込んで送信する必要があります。メールアドレスの記載は不要のやうです。アメリカのHPには、

No one will call or solicit or visit your home.

電話もしませんし、勧誘もしませんし、あなたのうちを訪ねたりもしません。
と書いてあります。日本のHPには書いてありません。

本の中身はまつたく分かりません。とても怪しいのですが、怪しさに弱いわたしは興味津々です。世界中に謎の本を配つてゐるこの団体は、アメリカのキリスト教団体ださうで、通り一遍の情報はもちろんありますが、詳細はよく分からないやうです。

わたしの好奇心が勝つて、本を取り寄せるか、警戒心が勝つて、本を貰ふのをやめるか、悩んでゐるところです。