TOBLERONE
Tobleroneは、アーモンドのつぶつぶが入つたおいしいチョコレートです。
以前、国会図書館の食堂に一緒に行つたかへるさんが呉れました。
トーブルローネ??
箱の表にはTOBLERONEと大きな赤い字が踊り、その字の上には小さく
Swiss White Chocolate with Honey and Almond Nougat.
とあります。すなはち、「瑞西国・白チョコレット、蜂蜜、アーモンドのヌガー入り」とあります。
ヌガー(nougat)はフランス語で、砂糖と水飴を煮詰めたものに、ナッツの砕いたもの、ドライフルーツなどを混ぜて、冷やして固めたもの、のことです*1。
トーブルローヌ*2は1867年創業のスイスの老舗チョコレート屋で、箱のデザインは創業の時からほとんど変はつてゐないさうです。
三角の細長い変な形の箱で有名です。味は何種類かあるやうです。
http://store.yahoo.co.jp/americado-shop/j-f30061.html
によると、500グラムもある馬鹿でかいトーブルローヌもあるそうです。わたしなら、一日でたひらげてしまふでせう。
日本ではまづ手に入らないでせうが、公式ページ*3によると、4・5kgといふ常軌を逸した大きさのトーブルローヌもあるさうです。わたしなら、一日でたひらげられてしまふでせう。
わたしのもらつたのは、明治製菓が輸入したもののやうで、箱は普通の四角で三角ではなく、箱の中に、三角の箱が二つ入つてゐます。50gの箱が二つです。4・5kgには遠く及びません。そして、箱の裏には日本語が印刷してあります。
困つたことには、日本語では「トブラローネ」とかいてあります。英語ともイタリア語ともつかない変な発音表記なのですが、まあそれはよいでせう。わたしの名前も外国ではとても発音しにくいものですし、とくに中国では似ても似つかない音になつてしまひます。ちなみに、中国音でわたしの名は「チャンチ」です*4。犬みたいです。ちやんちきおけさではありません。
わたしはこのトーブルローヌをもらつた時、もちろん欣喜雀躍しましたが(チョコレート狂なので。ただし、とくに甘党といふわけではありません。きつと子供の頃、進駐軍にもらつたから、懐かしくて・・・といふのは嘘で、歯に悪いからとあまりチョコレートを買つてもらへなかつたからでせう)、見たことのないチョコレートなので驚きました。
箱の表には英語だけが書いてあるので、一見、英語圏のチョコレートなのですが、裏には日本語が書いてあります。なんでせう。いつたい、これは? わたしは思案に暮れました。
外国のチョコレートを日本の菓子会社が輸入して、箱も日本で作るなんてことは、考へもしませんでしたので、わたしは悩みました。
トーブルローヌ??
ああ。
わたしは膝を打ちました。「よーし、分かつた」と金田一耕助の前で合点しては、失敗する間抜けな刑事のやうですが、わたしはなぞを解きました。
これは、東武が売り出したんだね?
わたしはかへるさんに言ひました。かへるさんは面食らつたやうな表情をして、だまつてゐます。
かへるさんは当惑の表情を浮かべてゐました。かへるさんはその日、東武電車で来たので、きつと駅の売店で買つたに違ひないと思つたのです。
今思ふと、なぜ東武電車のチョコレートなどといふ、ありえないものを想像して、それに違ひないと思ひ込んだのか分からないのですが、わたしは早合点する癖があるので、一人で納得しました。さうして、それをかなり長い間、信じてゐました。
わたしのきやうだいは、浜千鳥のことを「ハマチドリ」、すなはち、ハマチを採る鳥だと思ひこんでゐたのですから、血は争へません。それにしても、ハマチを採る鳥なんていふものがゐるなら見てみたい。それは、もう痛快なくらゐ巨大な鳥でせう。インドネシアのガルーダか宗瑛の「トイトイフウ」のやうに。
*1:http://erecipe.woman.excite.co.jp/weekly/0105w3.html
*2:スイスはドイツ語とフランス語のはずですから、トーブルローヌ、あるひはトーブレローネと読むのでせうか。正確にはなんと読むのかわかりません。