国際きのこ会館

kimikoishi2006-09-28

栃木県の聖地として、つとに知られてゐる場所があります。それは「国際きのこ会館」です。

それは、桐生駅のずつと北にあります。案内を見ると、駅からタクシーで10分とあります。聖地ですが、バスはないのです。さすが聖地。甘い行程を許しません。

わたしがおとづれた時は、雨が降つてゐまして、あたり一面にはもうもうと霧がたちこめてゐました。まさに、聖地といふ感じです。

山道を延々と登ります。あたり一面にたれこめる煙霞はどんどん濃くなつてまゐります。深山幽谷といつた風情です。さすがに、きのこの聖地だけあつて、じめじめとしてゐますが、季節がよいのでそんなに不快ではありません。

まだか、まだかと物凄い坂を登りに登つて、つひに広大な駐車場につきました。

なんだ、お前、自動車で行つたのか。はい、さうなのです。聖地にゆくのに、自動車か?はい、すみません。でも、このごろは四国八十八箇所の遍路さへ、自動車でまはるみたいですし。

それはともかく、駐車場の奥には、霞をまとつた、天に聳ゆる巨大な建物が鎮座してをります。わたしは緊張しながら、聖地の巨大な建物に向かひます。緊張のあまり、わたしの頭のなかでは、きのこの山のその奥に、たけのこの里があつたとさ、といふ歌が鳴り響いてゐました。

たけのこの里がほんたうにあつたらどうしやう? こんな山奥に?? 里からあらはれた村人たちに大いに歓待されて、酒をどんどん薦められます。わたしはすつかり酔つぱらつて、いい気分になつて嫣然たる美女の膝の上で眠りこんでしまひます・・・

ところが、朝になつて鳥の鳴く声で目が覚めると、里は忽然と消えうせてをり、おちよこと馬の小便が入つた徳利がころがつてゐるのです・・・

ここで残念なお知らせがあります。実は、聖地は最近、名前を変へたやうです。今の名は「国際きのこ会館」ではなく、「きのこの森 桐生国際ホテル」です。聖地らしい威厳が一寸減り、大変残念です。名は重要です。改名のせゐか、あるひはこの頃の人は信仰が薄いからなのか、人は他に誰もゐませんでした。

しかし、そこは聖地。期待を裏切りません。いきなり、わたしの目の前に巨大な円盤があらはれました。写真の物体がそれです。

なんだこれは!(岡本太郎風に)

(つづく)