雨さゐさゐ

kimikoishi2006-03-04

雨がさゐさゐとふつてゐます。

わたしは雨にうたれて立ちつくしてゐます。

雨傘を忘れました。

空は真つ白で、うすぐらく、まだ昼間のはずなのに、いまは午後三時なのか、それとも日暮れなのか、見当もつきません。

さゐさゐとふつてゐた雨が、しだいに強くなつてきました。

雨はざあざあと地面をうちます。

空を見上げると、無数の雨がおちてきます。

雨はたいしたいきほひで、目をあけてゐるのが、なかなか大変なくらゐです。

雨は音を立てておちてきます。

わたしの顔も、髪も、外套も、すべてがずぶぬれです。

水のなかにゐるやうです。

まるで、さかなになつたやうです。

くびが痛くなるほど、わたしはずつと天を向いてゐます。

雨は吹き上げてくるかのやうに、こちらに舞つてくるのです。

さうです。雨は落ちてくるのではなく、吹き上げてきてゐるのです。

その噴水のうへに、わたしはゐるのです。

まるで空を舞ふかのやう。

わたしはひれをたててみました。

雨がざあざあとふつてゐます。