インバネス

kimikoishi2006-01-13

わたしのもつてゐる防寒着で最もあたたかいのは、インバネスです。

外套もありますが、これは少々寒いです。生地が安物で薄いからです。

インバネスは昔のものなので、びろうどのやうな生地で、厚く、ふかふかとしてゐます。

インバネスをご存知でない方は絵を御覧になつて下さい。二重回しといふ名でも知られます。細長い袖なしの外套に、短いマントが乗つかつてゐる代物で、マントのあたりから風が吹き込みさうなイメーヂがありますが、これがこれがとても暖かなのです。

たゞし、裾が長い上に、腕はマントにすつぽり包まれ、手の先がすこし出てゐる程度ですから、きはめて活動的な服ではありません。走つたりするのは困難です。短い裾にすればよいのですが、インバネスは長めのはうが格好良いとされてゐます。

日本では、明治時代、大正時代に好まれたやうですが、昭和10年頃にはだいぶん減ります。それでも、老人は着続けて、昭和30年代くらゐまでは着る人がゐたやうです。インバネスは袖なしの脇が大きく空いてをりまして、着物を着ることもできます。したがつて、男性の普段着の着物が消滅すると共に、インバネスを着る人もゐなくなりました。

わたしはこのあたたかなインバネスを好みますが、欠点は異常に目立つことで、そのためわたしはほとんど着ることはありません。それが残念です。