鉄道事故

kimikoishi2005-12-28

鉄道事故が4月25日、12月25日にありました。原因はいろいろあるのでせうが、国鉄の電車は、新幹線以外はどれもへろへろと頼りない感じなので、あまり急がせたものだからへろへろとひつくりかへつてしまつたのではないでせうか。

国鉄の線路軌道の幅は1067mmださうですが、欧州やアメリカ、中国などは1435mmで、諸外国に比べて日本は一尺ほど狭いことになります。日本の鉄道はいはば植民地規格で、明治時代に、建設費が安く済むといふ理由で決められてしまつたものださうです。

その植民地規格で時速120キロもの速度でかつ飛ばしてゐるのですから、とてもあぶなつかしいものです。わたしが良く利用する小田急電車は、実に良くゆれます。あれは運転手さんが下手なのではなく、技術上の問題なのでせう。

幅の狭い線路の上に、でつぷりした電車が乗つて、これでもかこれでもかといふ速度で飛ばすのですから、揺れるのも道理です。ちなみに、わたしがときをり利用する阪急電車軌間1435mmを採用してゐるさうで、そのせゐかあまり揺れません。

明治時代に、無理にでも軌道幅を1435mmにしてゐれば、悲しい事故も少しは減つたのではないでせうか。だいたい、けちけちした計画といふのは累を後代に残すものです。

また、日本の鉄道は車両を軽くすることにも長けてゐるさうで、それは高速化のため、かつ電力軽減のためださうです。そのせゐで今年の二回の事故は起こり、中目黒の数年前の事故も起こりました。もちろん、他にも色々と原因があるのでせうが、直接原因の一つではあるでせう。

日本の技術を高らかに宣言する(だけではなかつたのですが)「プロジェクトX」といふテレビ番組が終はるのは、象徴的な感じがします。青函トンネルを一生懸命造つたのはたいしたことですが、いまあれはそれほど有効活用されてゐないやうに思ひます。貨物輸送で健闘してゐるのでせうか?

それにしても、仕事があつて、その次に生活があるといふ仕事中毒人の発想では、またその犠牲者が出ることになるだらうと思ひます(ハイデガーの技術批判も趣旨は違ひますが、技術が及ぼす危険を指摘してゐます)。生活や生命があつた上での技術ではないでせうか。また、競争は往々にしてこの生活や生命を脅かします。

プロジェクトX」の仕事第一主義は、怠け者の増えた今の世の中にはよい警鐘となるのかもしれませんが、そのために犠牲になつた「生活」(工事の犠牲者、また産業二次被害者など)については二の次(といふよりなかつたものとして扱ふ)といふ感じを受けました。番組の中で正負を同時に取り上げるのは難しいことですが。

マックス・ヴェーバーは「職業としての学問」で、天職と職業を分けてゐます。天職といふのは、効率性に縛られない、お金に縛られない、生活の業に属するものなのです。まあ、さういつても、その天職を見出すのが難しいのですが・・・