向日葵型温熱器

kimikoishi2005-11-25

わたしの部屋は大変寒いのです。それは暖房機がこたつに限られてゐるといふ貧困の賜物であります。


このごろ、扇風機の形をした温熱器があります。これはなかなか安価で買へるやうでして、ずつと欲しいと思つてゐます。


ところが、この温熱器のデザインが気に入りません。夏の扇風機と扇風機が二つになるのも楽しくありません。大いに、邪魔つけです。


そこで、わたしは考へました。あの扇風機型温熱器を、ヒマワリにしてはどうだらうかと思ふのです。ひまはりなら、可憐なデザインになるし、あたたかさうです。


向日葵は太陽をもとめて、くるくるとまはります。さうです。太陽のやうな貴方を暖めるために。


日本人はデザインはあまり得意ではないのかもしれません(得意な人がゐても、それを生かす場所が少ない。デザインをやつてゐる方は感じていらつしやるでせう)。
携帯電話も長らく、無趣味な画一デザインでした。いまはだいぶんいろんなものが増えたやうですが、二年前から同じものを使つてゐるので、その恩恵には浴してゐません。
画一デザインながら、西洋の小さな携帯電話機のはうが、わたしは気に入りました。


それはさうと、デザインに関しては保守的な国民だと思ひます。しかも、それはよい保守性ではなく、一定したものがどこにもありません。


日本人の悪趣味は、それはひとへに、日本人がオヤヂ趣味であることが原因してゐると思ひます。


あの扇風機型温熱器も、つくつた電気会社の女子社員のなかには、「なんや、もつと気イの利いたデザインにならえんのかいな。これやつたら、扇風機と、どつこも変はりあらへんやないの」と怒りを秘め隠してゐる、若く可憐な人がゐるはずであります。


しかし、そんな文句をいつても、世のオヤヂどもは、なに??、文句あるの??と激昂するだけであります。実際、可憐なデザインなど売上には関係しないのだから、これは電気会社のオヤヂ一人の罪ではなく、日本人の無趣味のなせる業としか言ひやうがありません。


それは、住んでゐる建物も、目にする町も、自分の顔も、子供の顔も、手にする日常の商品も、どれもこれもかはいくないものしかなく、それに囲まれて育つてしまつた以上、どうしやうもないことなのでせう。


わたしはそれでは面白くないので、あへて向日葵型温熱器を推したいと思ひます。発売されても、買はないかもしれないけど。