梁祝伝説

kimikoishi2005-05-20

梁祝伝説は日本ではあまり知られてゐませんが、中国では有名なお話です*1。全然中身は違ひますが、中世仏蘭西の「アベラールとエロイーズ」のやうなお話です。


梁山伯は祝英台と共に学んだ。英台は娘にて男装して学窓に連なりしものなり。時経ずして両人恋に落つ。されど、山伯の身分釣り合はず、為めに引き裂かる。山伯之れに苦しみやがて病死す。


英台他家に嫁がされ、舟にて婚家に赴く。然れども、舟、山伯の墓を過ぎて進まず。英台、其処に山伯の墓あるを聞きて、墓に参じて慟哭す。たちまち地裂けて、英台其中に進むに、地再び戻りて、英台姿を消す。あとにはつがひの蝶が二匹、ひらひらと舞へるのみ・・・
(「宣室志」の原文より大分脚色してあります)


梁祝伝説は古い伝説で、唐代にはすでに記載されてゐるさうです。香港だか台湾だかで映画にもなつてゐます。「梁祝伝説―バタフライ・ラヴァーズ―」です。悲恋を叙情的に描いたお気に入りの映画ですが、副題が一寸・・・


山伯という若い書生と、英台という名家の令嬢が、席を同じくして学んでゐるうちに、いつしか恋に落ちたといふわけです。しかし、名家の美しき令嬢と、成績抜群ながら名家出身ではない美丈夫の書生。令嬢の実家は大いに怒り、令嬢はうちから出られなくなり、二人は引き裂かれてしまひます。


やがて、令嬢は他家に嫁がされることになりました。憔悴して実家に戻された書生は、病を得て、つひに死んでしまひます。


令嬢が嫁ぐ日がやつてきます。舟に乗せられて、遠い婿の家まで行くのです。この結婚はもちろん政略結婚です。


ところが、あるところで舟が動かなくなります。みないぶかしがります。そのすぐ近くには、書生の墓があつたのでした。それを知つた令嬢は墓前に駆けつけ、慟哭します。


すると、大きな音と共に、地面が裂けて・・・


梁山伯梁山泊ではない)といふ蝶がゐるさうですが、いつもそのそばには祝英台といふ、つがひの蝶がゐるさうです。


大蝶必成双 乃梁山伯祝英台之魂 今即以此名蝶 (「事物異名録」)

*1:中国には現代クラシックの曲で「ヴァイオリン協奏曲「梁祝」(バタフライ・ラバーズ)」といふのがあります。http://www.ibiblio.org/chinese-music/html/traditional.html で聴けます。また、1994年には「梁祝」(副題 バタフライ・ラバーズ)といふ映画があります。この映画は悲恋ものですがなかなか良いです。