フラメルの晩餐

ニコラ・フラメルのことが何うにもかうにも気になるので、少し本を調べてみたら、フラメルは何と夢のなかで天使に「これをお読みなさい」と或る本を教へられたのださうです。


それを解読して、フラメルは賢者の石(Lapis philosophorum)を発見したのです。つまり、天地の真理が分かつたのですね(賢者の石は誰もが手に入れれば錬金術が出来る、といふやうなドラえもん式の道具では無いのです。天地の理法が分かり使へるものなのです)。

話がずれますが、賢者の石(=哲学者の石)はラピス・フィロソフォルムと言いますが、ラピスラズリ(lapis lazuli)のラピスはラテン語で石、ラズリはペルシヤ語で青ださうです。


ニコラ・フラメルにはをかしな話がいろいろあるさうです。十四世紀の人ですが、十八世紀に巴里でオペラ座を鑑賞してゐたと、噂になつたことがあるのですね。「ハリーポッター」はまだ読んでゐませんが、六百五十歳のフラメルが登場するさうです。


フラメルは大金を手にしましたが、それを貧しき人や教会に寄付したさうです。いゝ話です。フラメルの住んでゐたアパアトは見るからに恐ろしげな感じで(なにせ、巴里のなかで一、二を争ふ古い建物で、すつかり黒くくすんでゐるのですから)、錬金術師の家と書いてあるものですから、すつかりおそろしげな人だと思ひこんだのですが、さうでもなかつたやうです。


六百五十歳で生きてゐるなら、会つてみたいです。何を話さうか? とりあへず、フラメル家の階下にあるレストウランで、十四世紀の仏蘭西料理をおごつていただきませう。